新潟・山形地震 村上市支援活動報告

6月18日に発生した地震で震度6強の揺れを観測した村上市に、19日、21日、22日の3日間に渡って、先遣調査ならびに支援活動に入ってきました。

村上市には、昨年新潟県の事業で関わらせていただいた他、村上市防災士会の立ち上げに関わらせていただいたご縁などもあり、当初はそういった伝手をたどって情報収集を行いました。
村上市内の荒川、神林、朝日、村上地区などは、ほとんど被害はなく、山北に被害が集中していると言う状況でした。

山北では、新潟県社協など新潟県災害ボランティア調整会議などのメンバーと合流し、支援の調整などを行いました。
今回の災害では被害が限定的だったこともあり、村上市社会福祉協議会では、災害ボランティアセンターを設置せずに、通常のボランティアセンターの体制で被災地の支援に当たられていました。
社協の職員さんを中心に被害が大きかった府屋地区の戸別訪問をされ、支援のニーズのヒアリングを行いましたが、すでに業者に復旧作業を依頼されたり、親せきに手伝いをお願いしている家がほとんどのようでした。
ただ、中には気にかかる世帯もあり、そういった世帯には、社協として、引き続きフォローをされるとのことでした。

また、多くの世帯が地震で崩れた屋根の補修を業者に依頼をされていましたが、屋根上の補修作業を行うことの出来る技術系の災害ボランティア団体も市外から来られていたことから、村上市社協の皆さんやひのきしん隊の皆さんと協力しながら、そういった技術系災害ボランティア団体の受入れ体制の整備を図りました。
基本的な方針としては、ボランティアセンターとしては、一般の災害ボランティアの受け入れを行っておらず、技術系ボランティアについても同様に受入れは行わないこと。ただし、各世帯から技術系ボランティア団体に対して依頼があった場合には、社協として介入できないため、個々の責任に任せること。要配慮者世帯など、恒久的な屋根の修理が難しいケースについては、相談を受けること。などを取り決めました。

チーム中越としては、この三日間の支援活動を持って一段落とし、今後は現地からの要望に基づき、必要に応じて支援を行っていく予定です。

また、今回、村上市で支援活動に当たらせていただく中で、技術系災害ボランティアの受け入れに関する状況が大きく変わっていることを改めて認識させられました。
この経験を、長岡市内や新潟県内の備えにもつなげていきたいと考えています。

北海道胆振東部地震・厚真町支援

10月8日、9日の二日間にわたって、(一社)北海道災害対策協議会からの要請を受けて、チーム中越より水澤、河内の二名で厚真町に行ってきました。

今回の訪問では、北海道災害対策協議会の皆さんや厚真町社会福祉協議会の皆さんと意見交換を行った他、地震による土砂崩れにより大きな被害が発生している地域を案内いただきました。

被災から一か月が経過していることもあり、厚真町に通じる道路はほぼ通れるようになっていましたが、地震により崩落した大量の土砂が流れ込み倒壊した家屋や農地などはまだ手付かずの場所が多くあり、復旧までにはまだまだ時間がかかりそうな状況でした。

災害ボランティアセンターでは、これまで地震で壊れた家具などの災害ゴミの搬出などの作業を中心に行われていたとのことですが、1か月が経過し、片付けのニーズが減ってきたこともあり、土日祝日のみのボランティア募集に変更したとのことでした。
また、北海道内の青年会議所OBを中心に構成されている北海道災害対策協議会では、厚真町災害ボランティアセンターと連携しながら、一般ボランティアでは対応が難しいニーズについて対応をされていました。


社協と北海道災害対策協議会が連携して動き、そこに全国からの重機ボランティアの協力があったことで、かなり良い形で支援活動が行われてきたのではないかと思いますし、北海道のメンバーが中心になって支援活動を行えて来たことはある意味理想的な形とでもいえるのではないかと思います。

今後は、生活再建など被災者の皆さんに寄り添った支援が必要になってくると思いますが、チーム中越としても厚真町の社協や北海道災害対策協議会の皆さんなどの現地の支援団体を支える形で支援活動を継続出来たらと考えています。
支援のフェーズ、フェーズで現地から求められるニーズも変わってくると思いますので、その都度、適当な人材の派遣を行ったり、北海道からの中越への視察受入れなどを通して、私達の経験や教訓を少しでも現地の復興に役立てられればと思います。

ちなみに、厚真町は寺泊出身の青木与八氏が開拓された地とのことで、長岡とは縁ある地と言うことです。
こういった過去のつながりも大切にしながら、厚真町の復興を支援していきたいと思います。

熊本市支援団体の皆さんによる中越視察③

最終日の最初は、栃尾地域の仮設住宅でのつながりを今も大切にしながら活動をされている栃尾同住会の千野さんからのお話。
仮設住宅での自治会運営や現在も続くボランティア学生との交流や被災地支援活動などについて、その経緯や取組みなどについてお話いただきました。

そして、多世代交流館になニーナの佐竹さんからの長岡市での子育て支援の取組み。佐竹さん自身のエピソードも交えながら、震災を経てどのように子育て支援の活動が変化してきたのかなどをお話いただきました。
長岡市の子育て安心の避難所が熊本地震での気づきから生まれたものと言うことには、熊本の皆さんも驚かれていました。

三日間の視察を通じて、中越では地震をきっかけに様々な変化があったことを知っていただけたのではないかと思います。
今でこそ、私達も比較的整理して中越地震からの復興について、お伝えすることができてきましたが、震災2年目と言えば試行錯誤の連続ではなかったかと思います。

熊本の皆さんには、中越地震から13年後の様子を見ていただくことで、少しでも復興のイメージを持っていただき、これからの活動に何かしら役立てていただくヒントが見つかったのであれば、私たちとしてもうれしい限りです。

熊本市支援団体の皆さんによる中越視察②

二日目は、柏崎そして長岡です。

柏崎での午前中は、震災当時、柏崎市の職員として復興に携わられた白川さんからのお話。
復興公営住宅に住民の方が入居される際に、孤独死を出さないために行った階毎の班体制づくりなど、ユニークな行政の取組みをお聞きしました。これから復興公営住宅への入居が決まる熊本市の参考になる事例も多くあったのではないかと思います。

午後は、中越地震をきっかけに柏崎市で中間支援を行ってきた水戸部さんからのお話。災害支援からどのように平時の地域づくり活動に移行してきたのか、また、現在のまちづくりや中間支援の活動についても話を伺いました。

中越地震で被害が大きかったえんま通り商店街の住民主体の復興取組みについて、振興会会長の石川さんから聞くと共に、実際に復興したえんま通りの様子を見て歩きました。
被災地で当事者として地域の復興に関わるとその復興を支援する中間支援団体の関係性などもすこし理解いただけたのではないかと思います。

そして、長岡では、チーム中越/長岡協働型災害ボランティアセンターの構成団体のメンバーに集まっていただきいて、協働型災害ボランティアセンターが出来た経緯や苦労話、連携や協働がなぜ続いているのかなどについて意見交換をさせていただきました。

熊本市支援団体の皆さんによる中越視察①

3月23日~25日の3日間に渡って、熊本市内で復興支援活動を行っている支援団体から9名の皆さん(熊本市社協、よか隊ネット(みなし仮設入居者支援)、みるくらぶ(子育て支援、サロン活動)、ソナエトコ(防災教育)、ひごまる会議)が、中越に視察に来られました。

初日は、山古志の視察。
多菜田でお昼をいただきつつ、多菜田が出来た経緯や現在の取組みなどについてお話を聞きました。これまでの支援の恩返し、そして、集落のために役に立てたらと言う想いを伺うことができました。

木籠では、シーズン前の直売所に大勢の住民の方やふるさと会の方がお越しいただき、中越地震当時のお話や集落の復興のあゆみ、そして、現在の活動についてお話いただきました。集落の人口が減っても地域の皆さんが地域外の皆さんとの交流を通して生き生きと過ごされている様子が伝わってきました。

山古志の地域復興支援員の佐野さんからは、避難所や仮設、山古志に帰ってからの支援活動や支援のあり方についての話。支援者として何を大切にして地域の皆さんと関わられてきたのかお話を聞くことができました。

そして、宿泊先の福引屋さんでも、地震の時の話やその後のホテルの再建の話をしていただきました。

半日と言う短い時間の中でしたが、山古志の皆さんが、地震後の地域復興の過程の中で大切にしてきた、つながりやコミュニティと言ったものを、熊本の皆さんにも少し感じていただけたのではないかと思います。

熊本市の支援団体の皆さんに中越にお越し頂きました。

5月10日~12日の3日間に渡って、熊本市内で熊本地震支援に当たられている3団体の皆さんを中越にお招きしました。
今回お越しいただいたのは、チーム中越が熊本で行っていた避難所での支援活動を引き継いでくださったNPO法人小町ウイングの皆さん、そして、熊本市の支援活動を行う中でいろいろと交流のあったNPO法人ソナエトコとNPO法人くまもと災害ボランティア団体ネットワークの計3団体、6名の皆さんです。

最初にご案内したのが、柏崎市の「まちから」。

東日本大震災後に、福島から避難されてきた皆さんをどのように支援してきたのかを地域サポートセンター柏崎の渡辺さん、そして、共に育ち合い(愛)サロンむげんの増田さんからお話を聞きました。
熊本でもみなし仮設で生活されている方が非常に多いため、市と連携した見守りの方法や想いなど、いろいろと共感されることが多くあったようです。

2日目の午前中は、えんま通り商店街の石川さんより、中越沖地震以後の商店街の復興の様子についてお話しをいただいた後に、実際にまちを歩き、震災後のまちの復興の様子を見ていただきました。

後半は、NPO法人柏崎まちづくりあいさの水戸部さんから、大学生の時に柏崎の震災復興支援にかかわるようになってからこれまでの地震の歩みなども交えながら、柏崎におけるまちづくりの取組みや中間支援のあり方などについてお話をいただきました。

午後からは、場所を柏崎から川口にある「きずな館」に移して、NPO法人くらしサポート川口の中林さんから川口の復興やNPOの活動について説明を受けた他、(公社)中越防災安全推進機構ムラビト・デザインセンターの阿部さんからは、自身がどのようにして支援の世界にかかわり、川口に移住するまでに至ったのか、また、地域外の若者をどのように中山間地に呼び込もうとしているかなどについてお話しいただきました。
熊本の皆さんも、支援活動を続けるにあたって、どのように人材を確保するかは大きな悩みだったようですが、水戸部さんや阿部さんの話を聞いて、少しヒントが得られたようでした。

最終日の午前中は、山古志の視察です。木籠の郷見庵でお茶やお惣菜をいただきながら、松井さんから郷見庵のことについてお話を伺いました。

「おらたる」では、館内の展示案内をしてもらった後に、ガイドをしてくれた関さんから子どもの時に震災に遭ってどのようなことを感じたのか、また、ガイドになった経緯などについてお話をいただきました。

中越地震が起こってからほぼ13年間に渡って支援活動を続けられている地域復興支援員の佐野さんからは、震災後どのように地域の皆さんと接してきたのか、何を大切にされてきたのかをフェーズ毎に説明いただきました。山古志と熊本市では立地条件も文化もかなり異なるのですが、それでも支援の仕方や行政や社協との連携のあり方など、参考になるところは沢山あったようです。

この日のお昼は震災後に山古志に出来た農家レストラン多菜田。地域の山菜などをふんだんに使った料理をいただいた後に、代表の五十嵐さんからお店を立ち上げるまでの経緯などについてのお話をいただきました。
震災を乗り越えて元気に活躍している「山のかあちゃん」のお話を聞くと、私たちも元気をもらうことが出来ます。

そして、最後は「きおくみらい」にて、チーム中越のメンバーと意見交換。チーム中越がどのようにして出来たのか、その成り立ちと現在の活動を紹介させてもらった上で、熊本の皆さんから3日間の感想や質問などをいただき、意見交換を行いました。
熊本と長岡では、歴史文化も異なるので、なかなか長岡の経験がそのまま熊本に生かせるということは少ないかもしれませんが、少しでも私たちのこれまでの経験が役に立てば嬉しいことです。

今回、中越に熊本の皆さんに来てもらった目的は、中越地震や中越沖地震の被災地がどのように復興してきたかを実際に見聞きし、支援団体間で共有してもらうことで、少しでも熊本の支援のお役に立てばということ。そして、一時でも、熊本を離れることで、支援団体の皆さんにも少し息抜きをしてもらえればということでした。
と言いつつも、結構盛りだくさん視察だったのですが。。

熊本の復興はまだまだこれからだと思います。
距離の関係もあり、なかなか頻繁に行き来することは難しいですが、出来る限り熊本の皆さんに寄り添いながら、支援団体の皆さんを中越から支えていければと思います。

最後になりますが、今回熊本の皆さんを中越にお招きすることが出来たのも、長岡市内外のとても多くの皆さんからチーム中越に対して熊本地震復興支援金募金の協力をいただいたからにほかなりません。
チーム中越の活動に賛同し、募金の協力をいただいた皆様に心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

なお、いただいた熊本地震復興支援金募金につきましては、今回の視察経費を差し引いた残額を熊本の支援団体の皆様に寄付させていただく予定です。募金の使途等につきましては、改めて皆様にご報告させていただきます。

平成23年 東日本大震災ボランティアバックアップセンター・長岡災害支援ボランティアセンター

○概要
長岡災害支援ボランティアセンター; 東日本大震災の避難所が長岡市内に開設されたことに伴い、被災者への支援活動を行うボランティアの調整を実施。
東日本大震災ボランティアバックアップセンター; 東日本大震災の被災地で支援活動を行う団体等に対して、長岡を拠点に、救援物資の補給、情報の集約・発信、支援者のコーディネート、ノウハウの提供等を実施。
○設置日
平成23年3月17日(長岡災害支援ボランティアセンター)
平成23年3月18日(東日本大震災ボランティアバックアップセンター)
○設置場所
ながおか市民防災センター
○構成団体
(社福)長岡市社会福祉協議会、(特活)住民安全ネットワークジャパン、 (社)長岡青年会議所、中越市民防災安全士会、(特活)多世代交流館になニーナ、(社)中越防災安全推進機構 他
協力:真如苑救援ボランティア サーブ(SeRV)

【長岡における災害ボランティア活動】
○活動期間
3月19日~6月16日 (91日間)
○活動内容
支援物資の仕分け・積み込み、避難所運営支援など
○総登録者数
1,644人 (長岡市民に限定)
○延べ活動人数
3,755人(日最大124人、日平均41.1人)

【被災地への物資支援】
○活動期間 
3月18日~5月24日(68日間)
○延べ入荷数
2,708件
○出荷件数
158回 (45日)
重量 169.4トン
○活動連携先
宮城復興支援センター、SAVE IWATE 他