留学生は日本と海外との「掛け橋」-国際留学生フォーラム-


11月27日、長岡商工会議所において国際留学生フォーラム2010「Steal the BOSAI!!-NipponのBOSAIを学べ-」が開催され、
長岡市内を中心に留学生、日本人学生、青年海外協力隊OBOGや一般市民の方々など、計60名ほどの皆さんが参加されました。

冒頭、中越防災安全推進機構事務局長の山口から主催者挨拶がなされましたが、この国際留学生フォーラム、機構が行うようになってからは
今回でまだ3回目ですが、北陸建設弘済会が実施していた時から数えるとその実施回数は実に20回に及ぶそうです。まさに継続は力なりといったところでしょうか。

今回のフォーラムの基調講演は、長岡市国際交流センターのセンター長である羽賀さんより「多様性を活かすシステムとは」という
テーマで行っていただきました。日本は災害大国であり防災大国であるからもっと防災について海外に伝えられることがあるのでは、
また、留学生を通じて私たち日本人が当たり前だと思っていることの素晴らしさを再認識させられることがある、そして日本での留学生との
交流が将来的には国際協力に結び付く可能性があるのでは、といったお話を頂きました。

パネルディスカッションには、フィリピンの環境NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク代表で長岡市出身の反町真理子さん、
パキスタン出身で東京医科歯科大学大学院生のアリさん、同じく医科歯科大学大学院生でインドネシア出身のメリッサさん、
そして東京医科歯科大学特任教授で元JICA国際緊急援助隊事務局長の吉田丘さんにパネリストとしてご参加いただき、議論を行いました。

パネルディスカッションの冒頭、パネリストの皆さんの自己紹介に加えて、問題提起としてアリさんより、パキスタンの実状の他、日本の優れているところを「食」という切り口から発表していただきました。
私たちが普段口にしている日本食ですが、低カロリーで栄養価は高いなど医学の面からみても優れている他、味噌などの調味料は常温でも備蓄が可能であることから、防災の面でも優れている、さらには伝統的な日本食は肉を使っていないためにイスラムの人たちにとってもほとんど問題ないと言うことで、是非ともパキスタンに紹介したいと言うことでした。また、そういったことから観光と言った視点でも食べ物に困らない日本は魅力的だといった発表を頂きました。本当に外部者ならではの目のつけどころと言って良いのではないでしょうか。

また、インドネシア出身のメリッサさんからは、インドネシアでの火山災害の実状について報告そしていただいた他、日本は何事をするにも準備をしっかりとする点が素晴らしい。といった海外の視点から見た日本の魅力についても発表してもらいました。

そういった留学生のお二人からの議論をきっかけに、パネルディスカッションでは

・留学生から見た日本の魅力、日本の知恵
・日本の魅力・知恵、海外でいかすためには
・留学生に日本をもっと理解してもらうために、私たち日本人ができること

といった論点を中心に会場も巻き込んで議論を展開していただきました。

「雪があるから長岡に来た」という会場の留学生の発言には、会場の日本人の皆さんは一様に驚いていたようですが、
これこそが留学生の持つ外部者としての視点なのでしょう。私たちが当たり前に思っていること、それを良い意味で壊して、
気づきをもたらしてくれるのが留学生なのかもしれません。
また、「留学生との交流を通して様々なことを教えられた、また日本文化について考えさせられた」と言う日本人学生の発言もありました。

異質なもの同士が触れ合うからこそ見えてくることがある。そういった意味では二つの国を知っている留学生と言う存在は非常に
大きい存在であると言えるのではないでしょうか?ただ、日本人と留学生の間に交流がなければそこには何も生まれません。

この日、留学生から聞かれた「日本と祖国の掛け橋になりたい」との言葉。
こういった声を私たち日本人はもっとしっかりと受け止めなければならないと思いますし、こういった留学生に日本をもっと良く知ってもらうことが、
将来的には日本の国際協力や外交の上でも大事なのではないでしょうか。

今回の留学生フォーラム、「防災」というテーマにとどまらず、会場を巻き込んで非常に良い議論が出来たのではないかと思います。
ただし、このフォーラムは本当にきっかけにすぎません。この日参加してくれた一人一人がどのように日本人と留学生の壁を取り払うために行動できるのか。
特に日本人の私たちにとっては留学生にどうやって日本を理解し好きになってもらうか、これは非常に大きなテーマだと思います。
留学生に日本とそれぞれの「掛け橋」になってもらうために。
最後にパキスタン出身のアリさんに国際復興支援チーム中越で集めさせていただいた募金5万円を贈呈させていただきました。

なお、募金の現地での使途などについては、また後日アリさんより報告していただける予定です。

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